皆さん、こんにちは!平林涼です。
「景気が良い」「景気が悪い」よく聞く言葉ですが、そもそも景気って何でしょう?景気は、どうして良くなったり悪くなったりするのでしょうか?景気が良くなると、私たちの生活はどうなるのでしょう?
そんな疑問をお持ちの方、多いのではないでしょうか。私も経済を学び始めるまでは、「景気?株価のこと?」ぐらいの認識しかありませんでした。
しかし景気は、私たちの生活に密接に関わっていて、経済の状況を知るための重要な指標です。そして景気は、一定の周期で変動を繰り返しています。
今回は、景気循環の基本、そのメカニズム、種類、日本と世界の景気循環、そして私たちの生活への影響について、分かりやすく解説していきます!
景気とは?~経済活動の「元気度」~
景気とは、経済活動全体の活発さの度合い、と考えると分かりやすいでしょう。
景気が良い状態とは、
- 企業の生産活動が活発
- 雇用が増加
- 人々の所得が増加
- 消費が拡大
といった、経済全体が活気に満ちている状態です。
逆に、景気が悪い状態とは、
- 企業の生産活動が停滞
- 雇用が減少
- 人々の所得が減少
- 消費が縮小
といった、経済全体が沈滞している状態を指します。
景気循環とは?~景気は波のように変動する~
景気は、常に一定の状態にあるわけではありません。
- 好況(景気が良い)
- 後退(景気が悪くなる)
- 不況(景気が悪い)
- 回復(景気が良くなる)
この4つの局面を、波のように繰り返します。この一連の変動が、景気循環です。
景気循環は、通常、数年から10年程度の周期で繰り返されると言われています。
景気循環のメカニズム~なぜ景気は変動するの?~
景気循環は、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こります。
景気循環の主な要因
- 需要と供給の変動 人々の所得増減、企業の設備投資の増減、政府の支出増減、輸出入の増減などが需要に影響します。 また、技術革新や生産性の向上が供給を増加させる一方、自然災害、戦争、原油価格の高騰などは供給を減少させます。
- 金融政策 中央銀行(日本では日本銀行)が、金利を上げ下げしたり、市場に供給するお金の量を調整したりすることで、景気をコントロールしようとします。
- 財政政策 政府が、公共事業や減税などによって、景気を刺激したり、抑制したりします。
- 外部要因 海外の景気変動、為替レートの変動、国際的な政治情勢などが影響します。
- 企業や消費者の心理 企業や消費者が、将来の景気に対して楽観的になると、投資や消費が活発になり、景気が良くなります。 逆に、将来の景気に対して悲観的になると、投資や消費が控えられ、景気が悪くなります。
これらの要因が、互いに影響し合いながら、景気循環を引き起こします。
景気循環の種類~いろいろな景気の波~
景気循環には、さまざまな種類があります。
- キチン循環 約40ヶ月の周期で循環する、比較的短期の景気循環。企業の在庫投資の変動が主な原因とされています。
- ジュグラー循環 約10年の周期で循環する、中期的な景気循環。企業の設備投資の変動が主な原因とされています。
- クズネッツ循環 約20年の周期で循環する、長期的な景気循環。建設投資の変動が主な原因とされています。
- コンドラチェフ循環 約50年の周期で循環する、超長期的な景気循環。技術革新が主な原因とされています。
景気循環と私たちの生活~どんな影響があるの?~
景気循環は、私たちの生活にさまざまな影響を与えます。
景気局面 | 企業活動 | 雇用・所得 | 消費 | 物価 | 金利 | 株価 |
---|---|---|---|---|---|---|
好況 | 生産増加、設備投資も増加 | 雇用増加、所得も増加 | 消費拡大 | 上昇傾向 | 上昇傾向 | 上昇傾向 |
後退 | 生産減少、設備投資も減少 | 雇用減少、所得も減少 | 消費縮小 | 上昇から下落へ | 上昇から下落へ | 下落傾向 |
不況 | 生産大幅減少、設備投資も大幅減少 | 雇用大幅減少、所得も大幅減少 | 消費大幅縮小 | 下落傾向 | 低下傾向 | 低迷 |
回復 | 生産は増加傾向、設備投資も増加傾向 | 雇用も増加傾向、所得も増加傾向 | 消費回復傾向 | 下落から上昇へ | 低下から上昇へ | 上昇傾向 |
日本と世界の景気循環~過去の経験から学ぶ~
日本の景気循環
- 高度経済成長期(1950年代後半~1970年代初頭) 年平均10%を超える高い経済成長を達成。「投資が投資を呼ぶ」好循環でした。
- 安定成長期(1970年代半ば~1980年代後半) 2度のオイルショックを経験。経済成長率は鈍化しましたが、比較的安定した成長を続けました。
- バブル景気(1980年代後半~1990年代初頭) 過剰な金融緩和を背景に、株価や地価が急騰。しかし、バブルは崩壊し、日本経済は長期の低迷期に入ります。
- 「失われた20年」(1990年代~2010年代) バブル崩壊後の不良債権問題、デフレなどが深刻化。経済成長率は低迷しました。
- アベノミクス以降(2012年~) 大胆な金融緩和、機動的な財政政策、成長戦略を柱とする「アベノミクス」により、景気は緩やかに回復。しかし、少子高齢化、巨額の財政赤字など、構造的な問題も抱えています。
世界の景気循環
- 世界恐慌(1929年) アメリカの株価大暴落をきっかけに、世界的な不況が発生しました。
- 第二次世界大戦後の高度成長 アメリカを中心に、世界経済は高度成長を遂げました。
- オイルショック(1973年、1979年) 原油価格の急騰により、世界経済はスタグフレーションに陥りました。
- ITバブルとその崩壊(1990年代後半~2000年代初頭) IT関連企業の株価が急騰しましたが、その後、バブルは崩壊しました。
- リーマンショック(2008年) アメリカのサブプライムローン問題に端を発し、世界的な金融危機が発生しました。
- コロナショック(2020年~) 新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済は深刻な打撃を受けました。
景気循環と上手に付き合うには?
景気循環は、私たちの力で完全にコントロールすることはできません。しかし、景気循環のメカニズムを理解し、適切な対策を講じることで、景気の波を乗りこなし、より豊かな生活を送ることができます。
- 景気動向に関心を持つ 新聞やニュースなどで、景気に関する情報をチェックしましょう。経済指標(GDP、物価指数、失業率など)の意味を理解することも重要です。
- 家計管理をしっかり行う 収入と支出のバランスを把握することが大切です。無駄遣いを減らし、貯蓄に励みましょう。緊急時のための生活防衛資金(3ヶ月~1年分の生活費)を確保することも重要です。
- 資産運用を考える 預貯金だけでなく、株式や投資信託、債券、不動産など、さまざまな資産に分散投資しましょう。 景気後退局面では、一般的に債券が強含む傾向にあるので、ポートフォリオに組み込むことを検討するのも一案です。 長期的な視点で、コツコツと資産を増やすことを目指しましょう。
- 自己投資をする スキルアップや資格取得など、自分自身の価値を高めるための投資をしましょう。景気が悪くなっても、自分の価値を高めておくことで、雇用や収入の安定につながります。
- 情報に惑わされない 景気に関する情報は、さまざまなものがあります。情報の出所や信憑性を確認し、冷静に判断しましょう。専門家(ファイナンシャルプランナーなど)のアドバイスを聞くのも良いでしょう。
私の景気循環との付き合い方~経験から得た教訓~
私自身も、過去には、
- 景気後退局面で、資産が大きく目減り
といった苦い経験があります。
しかし、これらの経験から、私は、
- 景気循環は必ず起こる
- 景気の良い時も悪い時も、冷静に対応することが大切
- 長期的な視点で、コツコツと資産形成を続けることが重要
ということを学びました。 現在では、短期的な市場の変動に一喜一憂せず、長期的な視点での資産運用を心がけています。
まとめ ~景気循環は、人生の「波」~
景気循環は、経済の「波」のようなものです。
- 良い時もあれば、悪い時もある
- 永遠に続く好況も、永遠に続く不況もない
- 景気の波を乗りこなし、賢く生きることが大切
景気循環を理解することは、
- 経済ニュースが分かるようになる
- 家計管理や資産運用に役立つ
- 自分のキャリアを考える上でも役立つ
など、さまざまなメリットがあります。
今回の記事が、皆さんの景気循環への理解を深め、より豊かな人生を送るための一助となれば幸いです。
コメント